EPISODE 103
8月12日の夜の事です。
私は茶の間のソファーに座っていました。
バジルは私の足元で熟睡中。
息子は入浴中でした。
突然、玄関の方から茶の間に向かって
「カツッ、カツッ…」
と足音が聞こえ、最初は
「バジルかな？」
と思いましたが、バジルは足元にいます。
「じゃあ、マオ？」
とも思いましたか、姿は見えないし、足音も違います。
誰も、何もいないのです。
あの足音は
「モカ？」
だと思いました。
爪がフローリングの床に当たって出る音。
モカは高齢で、また両眼が義眼になってから、歩調はゆっくりとなっていました。
「モカ、来てくれたの？」
と、私は思いました。
モカは、3月5日に虹の橋を渡って逝ってしまった、とても大切な息子(犬)でした。
そして寝る時間になり、私と一緒にバジルもベッドに来るはずなのに、バジルがベッドに向かって
「ワン！！ ワン！！」
と、激しく吠えて、ベッドの上に上がってきません。
モカは寝る時、私の枕と平行になって、セミダブルのベッドの幅いっぱいに横たわって寝ていました。
私の頭を置く場所に困る位に…。
起きている時は、ベッドの足元、壁際の玄関の近くに伏せていました。
その、いつもモカがいた場所に向かって、バジルが暫くの間、激しく吠えていたです。
時々、玄関に向かって…。
バジルが落ち着いて、ベッドの上に来るまで、30分程かかりました。
そして、16日の晩、同じ様に、バジルがベッドに向かって吠えていました。
その時になって
「モカ、お盆だから帰って来てくれたの？それとも、コロナに感染したお母さんの事を心配して来てくれたの？」
と、思いました。
モカが逝ってしまった(3月5日)その晩、別居している長男から、
「明日か明後日、モカが帰って来ると思うよ。前の時(以前飼っていた犬)、そうだったから」
と、言われました。
「えっ、まさか…」
と、思ったのですが、その2日後の夜の事です。
私は息子(二男)と、茶の間でテレビを観ていた時です。
突然、玄関の方から茶の間に向かって、
「カツッ、カツッ」
と、茶の間の隣のリビングを歩いている音…フローリングの床に爪が当たって出る音が聞こえ、息子が
「マオ？」
と言って見たのですが、何もいません。二人で
「おかしいね…」
と、言っていたのです。
私は後になってから
「モカ？モカだったの？」
と思いました。
後日、長男から
「どうだった？モカ、帰ってきた？」
と、聞かれ、その時の話をしました。
息子は
「ほらね、言ったでしょう。お母さんの所には来たんだね。残念な事に、俺の所には来なかったよ」
と言ったのです。
7月20日の事、私は仕事が休みで、買い物に行ったのですが、その駐車場で転び、全身を強打。
全身湿布を貼りまくった状態で、翌日から仕事に行きはしたものの、右手を上げたり、寝返りをする時、右脇腹に激痛が…。
「右の肋骨、やっちゃった？」
と、思っていました。
その時、モカの写真に向かって
「お母さん、右脇腹がいたいの。転んじゃった」
と話しかけたその晩、私が１人、茶の間のソファーに座っていた時、私の方に向かってリビングを歩いている足音が
「カツッ、カツッ」
と聞こえたのです。
勿論、その音の方を見ても、誰も何もいません。
その時、私は
「モカ、心配して来てくれたの？お母さんは大丈夫だから安心して」
と、モカの写真に向かって、話しかけてました。
私かまだ、「癌」という病名も知らず、ただただ身体が怠いからと、仕事には行くものの、家に居る時の殆どは、ベッドに横になっていました。
その時、私が飲まず食わずで横になっていると、モカも一緒に飲まず食わずで、私に寄り添ってくれていました。
そんなモカだったので、天国に逝ってからも、私の事を 気にかけてくれているのかもしれません。
15年前の9月3日、モカが我が家の家族となった日でした。
「生きていたら、１５歳の誕生日だったのにね」
と、その日、モカの写真の前に、モカが好きだったヨーグルトとお菓子を供えました。
それを見ていたバジル、一瞬で食べ尽くしました。
バジルには
「夏バテ」
と言う言葉は、不要のようです。
今回のアイキャッチ画像 愛娘バジル
バジルは、3月29日に、我が家の家族になりました。
やっと5か月が過ぎたばかりだと言うのに、今着けている胴輪は5個目です。
出掛ける時は、嫌がらず素直に、胴輪わ着けさせてくれるのですが、家の中で外し忘れていると、噛みちぎるのてす。
今回はやっとの思いで撮影。
撮影後、外さずバタバタしていたら、胴輪を噛んでいる音が…。
外した時、胴輪はよだれで濡れていました…。
Pretty もか
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